何時間過ぎただろう。私は駅のそばで動けなくなっていた。タクシーなんて使えるお金ないし…交番に行こうにも制服で夜まで遊んでて…絶対父に何か言われる…ぁあどうしよう…。私はずっとうつむいていた。
「何してんの?遊ばない?」そう言って何人かに声をかけられたが私はずっとうつむいていたので男達は去って行った。今口を開いたらキレてしまいそうだから何も言えなかった。『ぁ-もぅ…こんな時にナンパとかしてくんなよ…』泣きそうだった。
「大丈夫?」
キレイな声だと思った。ナンパのわりにはやけに真剣に聞いてくるなと思いながら私は黙ってうつむいていた。その人はもう一度話しかけてきた「…しゃべれないの?」真剣にそう聞かれて何故か私は拍子抜けした。(何だか変な人だな…)そう思いながら「しゃべれる」一言答えた。そうするとその人は「そっか…よかった…」と言った。「何でこんな所にいるの?」「…寝過ごして終点まで来ちゃって…携帯も切れてるし」何故か穏やかな気持ちで答えれた。「…そっか-。良かったら送ってあげようか?」その一言に私はびっくりして何言ってるんだって言おうてして顔をあげた。その時,私は心臓が大きくなっていくような感覚に襲われた。その人は,白のカッタ-に黒いスーツを着ていて,高そうな時計をしていた。…あんなに真っ黒だった漆黒の髪が…ちょっと白みがかった少し長めのキレイな金髪。髪型は前髪と首もとがストレートで全体はツン?に固めていた。「大丈夫だよ。お金はとらないから,おいで」そうニコっと笑ったその人は…ハルだった。