ヤス#74
「分かっているよ。もう、すぐそこまでシットが来ているみたいだ…急がないと…」
「ヤス…母さんを抱きしめて」
ヤスはやつれ果てた純子の体に負担をかけないように重なっていった。唇を重ねると、純子はヤスを迎える体勢をとった。
ヤスは右手にアイノツブテをしっかりと握り締めている。握り締めた手が汗でシットリと濡れているのがわかった。
左手で己の一物を握ると母の愛の入口にあてがった。
「母さん…いいかい」
「ああ…ヤス。愛しているわ…ヤス…」
空が真っ暗になり、地面を揺らすような遠雷が、分厚い雲のかなたから響いてきた。
ヤスと純子の下半身は完全に繋がった。そして、愛の交歓が始まった。それは、とてもゆっくりで、お互いが慈しみ、深い愛を確かめるかのようだ。ヤスの腰が、純子の上で円を描くように動いている。ヤスの背中を純子の細い指先が優しく撫でまわしていた。
純子の美しい唇から喜悦の声が漏れだした。そのよがり声を合図にしたかのように、光が走った。嵐が起こり、枝葉がザワザワと音を立てている。