私はその人に手を掴まれ導かれるままついていった。気がつくと真っ黒の車。知らない風景。何故こんなことになったんだろう…私の隣にあのハルがいる。
「家どこ?」「…××市…」「了解」私は緊張と不思議感でいっぱいだった。「にしても寒かったでしょ?大丈夫?」「あ…頭パニくってたし寒いのとか…今ごろきた…」「ハハハッマジで?そんな焦ってたんだ」ハルは私に気づいてないのか知らないのか,一度もこっちを見ず話しかけながら運転をしていた。「はい」ハルは後部座席に置いてあったフワフワの高そうなひざかけを私の足に掛けてくれた。「あ…ありがと」突然で少し戸惑ったけど嬉しかった。「でも制服であんなとこつったてるなんて無防備だな-。実は援交待ちだった?」「なッ失礼すぎ!!なわけないよ!」冗談で言ったのは分かってるけど私はついカッとなってしまった。(あ…ッやっちゃった…)ハルは私をジッと見ていた。それから優しく微笑んで「分かってるよ。ごめんね」と言ってまた前を向いた。私はハルのその笑顔にドキッとして一瞬動けなくなってしまった。「歌ながす?今クラシックしかないけど…」「あ,うん…」ちょっと気まずかった。それを察してくれたかのようにハルは私をまた見てニコっとした。
私にはさっきから気にかかってる事があった。「ねぇ…聞いてもいい」ハルは優しく「何?」と答えた。「…ホスト…だよね…?」「…そんな風に見える?」真剣な顔でかえされた。(ぇっ…もしかして違った…?)慌てて謝ろうとしたその瞬間ハルは笑った…「ごめんね」そうひとこと言った。またからかわれたッ…怒るハズの所なのに私は何故か少しショックだった。