もうすぐ夏休み。
周りは“彼氏とデート”やら、“家族と海外旅行”などで浮かれている。
私、川上 水城もその一人の筈だった。
だけど…、世の中甘くはないらしい。
「どうすりゃいいの〜!?」
昼休み、私はいつもの木陰で阿部やんに思いをぶちまけていた。
今日は、水嶋君はいない。
何でって、私が断ったから…。
今頃何してんのかなぁ〜。
「そらアンタ、身長をどうにかするって言うんは無理な話ちゃうか?」
だから悩んでるの!(泣)
晴れて両想いになれたのに、この身長のお陰でデートも出来ないなんて嫌だよ…。
「私も阿部やんみたいに小柄だったらなぁ…」
ボソッと呟くと、阿部やんが腕組みをしてため息付いた。
「アンタが小柄やったら奇妙やけどな」
う…確かに。
小柄なだけじゃダメなんだ。それに見合った可愛い女の子でなければ…。
はぁ…。
今度は私がため息。
「可愛くなりたい…」
三角座りをして顔を伏せる。
「世話がやけるな、水城は」
?
顔をあげると、黒髪を掻き上げて不敵に笑う、阿部やんがいた。
「うちに任せとき。アンタを女にしたるわ!」
阿部やん、前にも増してパワーアップしてる気がする…。