照りつける夏の日差し、光る地平線。いやぁ〜、夏だねぇ!夏と言えばやっぱり海。という訳で俺は今海に来ている。七月の海はまるで俺を誘っているかのように…
「こら、翼!サボるな!」
「…。」
「返事っ!」
「はいっ!!」
ここは俺の友人が経営する海の家。俺は海にバカンスに来ている訳じゃなく、タダ働きをしに来ているのである。ここの店長の野々宮には学生時代にいろいろと借りを作ってしまったため、毎年大盛況するこのシーズンには人件費ゼロの労働力としてかり出されているのである。
また新たなお客が入ってきた。
「へい!らっしゃい!」
こんがり日焼けしたいかにも漁師っぽい人だ。
「あの、ここに偉い学者先生がいるってきいたんですが…。」
「それは恐らく私でしょう。それでご注文は何になさいますか?」
「おぉ!あなたがですか!!いきなりですが助けていただきたいことがあります!」
「まぁ、とにかくお話ください。今日のおすすめは(超マロンかき氷)でございます!」
「おれは漁師をしとるんですが、実は最近得体の知れないバケモノが海に現れて、網を食い破っていくんです。道具を壊されちゃ商売あがったりです。先生、どうかバケモノを追い払ってください!おねげぇします!」
「そう言われましてもねぇ…。」
「もちろん謝礼のほうもさせていただきます!どうか、この通り!」
謝礼と友情、天秤にかけると、一瞬で答えが出た。
「わかりました!私が解決してあげましょう!」