あっと言う間に日にちは過ぎ、終業式。
すべてが順調に進んでいた。
「阿部やん、また二学期ね!」
「おー。せいぜい水嶋とラブラブする事やなっ(笑)」肘で突いてくる阿部やん。
「もぅ」
照れるから、そーゆー発言はやめてって言ってるのに…。
(…でも、本当は阿部やんの優しさなんだよなぁ、これも)
「阿部やんも、大田君と仲良くね」
って言ったら、ハッ!て鼻で笑われた。
何でだ?
阿部やんと戯れて、水嶋君の元へ行く。
「帰ろうか」
「うん」
私は水嶋君の後に続いて教室を出た。
いつもの道を二人で歩く。たわいもない話をしてる、その時だった。
急に水嶋君が黙る。
「どうしたの?」
一点を見つめる彼の視線を辿ると、目の前に少女が立っていた。
ゆる巻きパーマのかかった髪に大きな瞳。上品な口元。
(すご…可愛い子…)
「ちぃちゃん…」
目を凝らしたまま、彼が呟く。
はい?
その瞬間、彼女は駆け出し、あろう事か水嶋君の腕に飛び込んでいたんだ…。
バサッ。
驚きで、鞄を落としてしまう私。
「碧、会いたかった!」
水嶋君に抱きついたまま、ちぃちゃんと呼ばれた彼女が言う。
何?何がどうなってんの?