「ねぇ、教授。このハチマキなんですか?」
「いいから、お前は黙ってそのハチマキ巻いて、こののぼりをひらひらさせとけばいいんだよ。」
「えぇ〜、暑いじゃないですか…。」
「お前が来たいって言ったんだろ?」
「だって、バカンスにつれてってくれるって言ったから…。」
「とにかく!俺は周辺聞き込み調査に行ってくる。じゃあ頼んだぞ!」
「あ、ちょっと…!待ってくださいよ〜!」
サイケデリックなデザインのハチマキとのぼりを持った峰崎を波止場に残して、俺は町に入っていった。
さてと、まずは目撃情報からさがさないとな…、と思った俺は、漁に使う網が玄関先にかかっている、いかにも漁師っぽい家に狙いを絞って聞き込みにまわった。
一軒目。
「あぁ、あんたが例の学者先生かい!どうだい?順調かい?いや、言葉にしなくても伝わってくるよ!絶好調だろ!?その調子で頑張れよ!」
絶好調もなにも、まだ一件目である。
二軒目
「お!若いもんがこの町に来るなんて珍しいねぇ。難しいことは置いといて、このフナムシの唐揚げでもたべてくんろ。」
不覚にも戴いてしまった。美味だった。ルックスとのギャップはグランドキャニオン級である。
三軒目
「あ゛?おれぁ網を切られてむしゃくしゃしてんだ!とっとと出てけ!」
まさに八方塞がり、ソフトな壁からハードな壁まで、よりどりみどりである。
しかたないので、俺は海岸に行き、打ち捨てられていた古いボートを使って海に出てみることにした。