外からみた感じのこの部屋は、たいして広くはないが狭いというワケでもない。
ミニテーブルにソファー、室内用の観葉植物など、一般的な“リビングルーム”といった印象だった。…否、このような施設にこんな部屋がある事が既におかしいからか…あまり落ち着かなかった。
瑞枝「ハイハイ…厳しいお言葉。さぁどうぞ、祐希くん?」祐希「ぁ…あぁ…」
瑞枝に導かれて部屋へと足を踏み入れる。廊下よりも部屋の光の方がが眩しかった。徐々に目が慣れてくる――
紫穂「ユウキ…!??」
祐希「…!?……」
自分の知っている声で、
自分の名前を呼ぶ声がした。
紫穂「ユウキ!」
再度呼ばれてやっと地に足がつくように気はっきりし、まわりの状況が鮮明に感じられた。
祐希「!…シホ……!?」
部屋の中には紫穂の姿が見え、祐希はやっとここにきて少しばかり安堵した。
紫穂が無事だったというのもそうだが、何より、なんにも知らない場所で唯一知ってる人に逢えたから。だからそのセイなのかも。と祐希はそう思っていた。