ヤス#79

チャーリー  2007-06-21投稿
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ヤス#79
生まれて間もなく、小船に乗せられた。見送る人々の顔は霧がかかって良く見えない。
木箱の蓋がされ、船が流されていくのを感じた。
どこを流れたのか…船が小さく揺れ、蓋が開いた。
赤い龍。生臭い息を吐きながら木箱の中をじっと覗きこんでいた。蓋が閉じた。そして、再び蓋が開いた時、老人が覗きこんだ。

ヤスは、はっきりと自分が見えた気がした。魔界がこの世を席巻しようとしている。自分は龍神に選ばれたのだ。
全てが理解できた。
遠のいた意識が強い意志で呼び戻った。
ヤスは目を見開いた。純子が苦もんの表情で涙を流している。ヤスは純子を思い切り抱きしめた。そして、こんしんの力で純子を貫いた。

「ああっ!…ああ…ヤス!私のヤス!…ああああっ!」
「母さん…母さん!」
「ヤス!ヤス!…ああああっ!ヤスーーっ!」
純子がのぼりつめた。その瞬間、鞭となっていたシットの髪が解かれ、先端から青白い小さな炎が上がった。

それは瞬く間に、導火線のごとく根元へ向かい走っていった。
シットの頭を中心のに扇のように広がった炎は、天に向かい真っ黒な煙をあげた。

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