我ながらなかなかの名司会っぷりだ。
「3.2.1.オープン!」
峰崎がゲージにかかっていた布を取っ払う。中に入っていたのは、一匹の…ビーバーだった。客席はポカンとしている。
「このビーバーが鋭い歯で魚の匂いが染み着いた皆さんの網を食い破っていたんです。」
「アホか!俺の網は沖に出てるときに破られたんだ。そんなちっこいのが沖合まで泳いできて網をかじったとでも言うのかよ。」
「ひとつ、みなさんは大きな勘違いをしています。それは、この網は漁の最中に食い破られたのではなく、漁にでる前、つまり陸ですでに破られていたということです!」
漁師達はぽかんとしている。
「漁にでる前に網が破れているか隅々までチェックする人はほとんどいない。魚が網からこぼれ出て初めて網の破れているのに気づいたんでしょう。そして、でっかいバケモンをたまたま同時に目撃したため、『バケモンに網を食い破られた』と錯覚してしまったのです。」