ぴんぽーん・・・
音が妙に響く。
「はーい?」
中からミサキさんの声が聞こえる。
「どちらさまー?」
と言ってドアを開ける。結構無用心だ。
でも、僕の顔を見た瞬間、ミサキさんは止まった。
そりゃあ・・・
嫌いな奴が来たら止まるだろうな。
ゴメン。
「まあ・・・上がってよ」
「あ、お構いなく。届けものを渡すだけですから」
なるべく、係わり合いたくない。
胸が苦しくなるから。
「・・・っ私は上がってほしいの!」
ミサキさんが少し声を張り上げた。
「で、でも・・・」
中でボコボコにされるのかもしれない。
だけど、断るのも駄目そうだったので、僕は足を進めた。
久々に入るミサキさんの家。
少し家具の配置を変えたらしく、前より部屋が広く感じた。
「あ、ミサキさんこれ。ゼンくんからです」
手紙をミサキさん渡す。
手紙を読むミサキさん。体調は結構良さそうだった。
手紙を読み終えたミサキさんは、満天の笑顔で僕にお礼を言った。
「あ、お茶入れてくるよ」
ミサキさんが立ち上がった。
そして、カーペットに足をとられ、足が宙を浮いて、
僕に倒れてきた。
僕は咄嗟のことで、何もできず、そのままミサキさんと一緒に倒れた。
「いてて・・・」
なんだか体が重い・・・と目を開けた僕は凍り付いた。
ミサキさんが僕の上にたおれている。
すごく、近い。
心臓が跳ね上がった。