「しんどい〜!」
演劇部に入部して三日目、私は声を枯らして叫んでいた。
ちなみに今は休憩中…。
「て言うか孝、和也先輩は!?」
孝の座っていた席まで駆け寄る。
そう、私が入部してからの三日間、一度も姿を見てない。
お近付きになった印に呼び方まで変えたのに。
「避けられてるんじゃない?」
台本に目を落としたまま答える孝。
「じょ、冗談やめてよ〜!」泣きそうだ…。
(せっかく入部したのに…)こんなしんどい思いして、先輩に会えないなんて入部した意味ないじゃん!
「彩ちゃん!」
ビクッ!
大きな声で呼ばれて驚いた。
「皆田先輩…」
爽やかとは言い難い笑顔で近づいてくる彼の名前は皆田 博先輩(中三)。
「真鍋なら昨日、近所のレンタルビデオ屋にいたよ!」
「えっ!マジですか?」
「うん、彼女と!」
…。
余計な事を聞いてしまった。
「そんな事よりさ!今日、帰りにゲーセンいかない!?」
そう言って、ゲームセンターの無料券を見せて来た。
「ぃぇ…結構です…」
どうせなら私も和也先輩と行きたい。
いいなぁ、沢木先輩。
私、何やってるかなぁ?ここで(泣)
肩を落として、簡単に入部すると言った事に、少し後悔し始めていた。