男の子は柔らかい二つの膨らみが顔に当たっているのを感じた。
「おっお姉ちゃん…くっ…苦しい…」
しかし少女は男の子に構いもせずに頭を撫でる。
「かわいい子。気に入ったわ…」
そう言うと少女は腕を放して男の子の首筋にそっと口付けをした。
その直後、口付けをした部分に六角形の痣が現れた。そして男の子は一瞬苦痛に顔を歪めた後、力無く倒れた。
「10年後に又会いましょ…」
そう言った瞬間、発砲音と共に彼女の胸部に風穴が開いた。
「よっしゃ!!」
歓喜に満ちた男の声がした。
そして胸に銃弾を受けたにも関わらず少女は平然と立ち尽くしている。
「あれ?何で死な無いんだ?」
声の主、坂野仁は胸に銃弾を受けても平然としている少女に唖然としている。
少女は仁はぎろりと睨み付けると仁の視界から少女の姿が消えた。
「えっ!?消え」
言葉はそこで詰まった。
気が付いた時には首を締められて壁に押さえ付けられていた。
「折角見付けたのに残念だったわねぇ。生憎その程度じゃ死なないよ?」
首を締める力が更に強くなる。
「あなたには期待してたんだけどなぁ〜こんなあっさりと死ぬとはねぇ〜」
「うっ・・・あっ・・・ぐぁがぁ・・・」
敬介は苦しそうに嗚咽を漏らすと手からリボルバーがこぼれ落ちた。
やばい
頭がぼーとして来た
俺はこれまでなのか
親父、お袋
悪い
仇討ちは出来そうに無い…
「そろそろ死ねば?」
少女が冷たくそう言い放った時、彼女は後頭部に体に何かが差し込まれる感覚と荒い吐息を感じた。
「やった!!!殺したぞぉ!!」
少女を刺した男は歓喜の雄叫びを上げる。
「嘘だろ…先を越された…」
「嫌だぁ!!!これじゃあ俺は一生…」
刺した男とは対照的に彼の後ろにいる男達は絶望している。
その時、仁の首を締める手が離れた。
「嘘だろ!!
何で死んでねぇんだ!!」
少女は男の後頭部を掴み壁に思いっ切り叩き付けた。男は白目を向いてへなへなと崩れ落ちた。
「化け物!!」
男の一人がそう叫んだのを仁は聞いた。
後ろからは男達の悲鳴が聞こえて来る。
仁は苦しそうにむせながらも全速力で旅館から逃げ出した。