『こんなちんけな化外(けがい)の星の分際で生意気なんだよ!文化も知らない、礼節もわきまえない野蛮人共がこの僕達に拳を上げる何て許されると思っているのかよ!?ああ?』
フーバー=エンジェルミは白眼を剥き出し恫喝を始めた。
『そうさ、この宇宙を支配する唯一無二の真理とは、血縁と家格なんだよ!星間諸侯こそがこの銀河の全て!太子党こそが人類世界の秩序!それを乱す何て大それた事を考えるなよ?本来ならな、星毎吹き飛ばしてもなお足りない大罪なんだぞ!だがねえ、この僕はその太子党の中でも最高の人格者なんだ。だから怖がらなくても良いんだよ?』
血族原理主義教の司祭は、哄笑しながら己が身に猛り狂う彼の主催神を憑依させ、有難い有難い御託宣を垂れた。
『これからは毎日、十三才以下の誰にも汚されてない子供と、生後三ヶ月以内の赤子を僕達に貢ぐんだ!それぞれ男女五0匹ずつな?分かるだろ?お前等未開の田舎者共は実にラッキーだ!感謝して膝まづけよ。僕達現人神と夜な夜な交わり、しかも胃袋に入って血肉を一つにしてやるんだからな!これはね、この僕が考案した神聖な清め―つまり儀式なんだ!どうだい、中々冴えているだろう?』
何千万人分もの悲鳴と卒倒をよそに、彼は実に満足気な笑みを見せ、目を煌めかせた。
そして立ち上がり、両腕を大きく広げ厳かに宣言したのだ!
『これからパレオスは僕達太子党が支配する!不埒な非血縁主義者を駆逐し、この世の楽園を築くのさ!僕達現人神を万人が心から崇め慕うそれはこの銀河の有るべき姿―美しい国だ!その美しい国に住まう君達は正しい教育・思想を与えられ、真の文明人として生まれ変わる!これこそ僕の夢・理想だ!アッキャッキャッキャッキャッキャ!』
星民奴隷化のそれは脅迫状だった。
少なく共、聞いた者にはそれ以外に解釈しようがなかった。
だが―フーバー=エンジェルミの用意した無差別拷問にはまだ残りがあった。
それも、嘔吐必至のとんでもないデザートが!
『あ…そうそう♪実はねえ、あのマエリーにはね、これで二度目なんだよ?罰を下すのはね』
謎めいた前置きだったが美形の大魔王は今更勿体振りはしなかった。
『元々言動が気に障っていたからね…二年前、あいつはレイプされたんだ、僕が命じてね?そう、やらせたのは僕だ!僕なんだよ!!』