「待ってください!私、全く覚えないです。一昨日は部活の後真っすぐ帰宅しました」
私の発言に舌打ちする沢木先輩。
「まだ、しらきる気だよ〜」今度は背の高い女性がガムを噛みながら毒づく。
沢木先輩の顔が急にアップなって…
ガッ!
髪を思いっきり引っ張られた。
「痛いっ!」
「何この頭、パーマあてちゃって、真似てんの?」
和也先輩の彼女がパーマだって知って、この間あて直しに行って来た所だった。「ねぇ、誰かハサミかカッター持ってない?」
沢木先輩の問い掛けに、ショートカットの女性がポケットからカッターを取り出した。
(何でそんな物騒なもの持ち歩いてんの!?この人!)
カチカチカチ。
カッターを受け取ると刃を出し私の顔に近付ける。
「顔、傷つけられたくなかったら静かにしな」
傍らにいた二人が私の腕を押さえ付ける。
そして―。
髪に押し当てた…。
ザク…。
「人の彼氏を横取りするからだよ」
高笑いが聞こえて、バラバラと目の前で散る自分の髪をただ茫然と見てるしかない私。
―と、その時…
「何、やってんだ?」
私の後ろから声がして、先輩達が皆、ハッとする。
「和也…クン!」
(え…?)