その瞬間、掴まれていた腕は解放され、カッターを手にしていた沢木先輩は後ろ手に隠すように後退りした。
振り向く私の目には、見た事のない形相の和也先輩が映っていた…。
(先輩…来てくれた…)
その後は、何でか全く覚えてない―。
目を覚ますと、視界に知らないポスターが飛び込んできた。
(あれ、私こんなポスター持ってた?)
ぼんやりとする中で考える。
(まぁ、イイや。とにかく眠い…おやすみ)
再び眠りに落ちようとする。
が!
ふと脳裏に過ったのだった。
(そうだよ、あの後どうした!?)
ガバッと起き上がると、横に和也先輩がいた。
「か、和也先輩!?」
顔を近付ける先輩。
「起きたか。ここは俺の部屋。気分悪くないか?」
「は、はぃ…」
返事をしながら癖で頭を掻く。
「ない!!」
何度も頭を触って確認する。
髪の毛が…腰まであった髪の毛が…。
私が青ざめていると、先輩が優しく髪を触った。
「ごめんな…。早く助けてやれなくて」
「そんな…」
私は首を横に振った。
「でも、俺のせいだろ?」
少し悲しそうな表情を浮かべている。
「違います!私が勝手に先輩を好きで…、追っかけ回してたから誤解されただけで」