デート当日、駅の改札前で水嶋君を待っていた。
(相変わらず、早く着き過ぎ…)
以前、彼とゲームセンターの前で待ち合わせした時の事を思い出す。
あの日だったんだよね、彼を好きだって自覚したの。あの時はまさか付き合う事になるとは思わなかった。
「おはよ☆」
思い出に浸っている私の姿を見つけ、駆け寄ってくる彼。
「おはよう」
私も笑って返す。
……。
(見られてる!!)
彼の視線が頭の天辺から爪先まで降り注がれて、思わず小さくなる。
「やっべー…。水城ちゃんめっちゃ可愛い☆」
(うぁ…)
嬉しくて、でも恥ずかしくて顔が熱い。
両手で頬を覆い隠していると、いきなり彼に腕を引っ張られて…、
柱を影にキスされた。
前々から思ってたけど…水嶋君て、結構大胆なんだよなぁ…(照)
「行こう!」
まだ顔を赤くしたままの私に手を差し伸べる水嶋君。
私は彼の手を取り改札を潜った。
どうしよう。
待ってる間からドキドキしてたけど、止まらないよ…。
こういうのを幸せって言うのかな。
でも、その幸せも長くは続かなかった…。
二人の後を付けている影に気付く事もなく、私はただ彼の手の温もりを感じていたんだ―。