不変 ?

 2007-06-25投稿
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冬子はその涙を隠すように笑った。

「ナッちゃんがこっちで良い就職先見つけてくれればなぁ」

「俺のせいかよ?」

ふたりは笑いながら缶ビールを飲み干した。
冬子は大学卒業後、一年だけ地元で就職活動をしていた。しかし、とうとう良い就職先が見つからなかったのだった。
不意に直之が口を開いた。

「冬子、言い忘れてたことがあったんだ」

「なに?」

「俺・・・・・・冬子の」

そのとき、最後の花火が豪快な音を立てて言葉を遮り、大輪の花を咲かせた。

「綺麗」

花火の名残が夜空にちらちら光っていた。

「終わっちゃった。あ、言い忘れてたことって?」

「いや、みんなどうしたかなって思って」

「そうだね。元気ならいいよね」

冬子は寂しそうに目を伏せた。

二人は後片付けを済ませると、登ってきた坂を下り始めた。
急な坂も下りは楽だった。
唐突に直之が口を開いた。

「あっちで、いい人できた?」

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