不変 ?

 2007-06-25投稿
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キッ!と、大げさな音を立てて自転車は止まった。

冬子が背負っていた重圧や責任、不安が、少し気を弛ませた彼女を押しつぶした瞬間だった。誰もが背負っているそんな当たり前のものが一人の人間をこんな風にしてしまったのだ。

「一人暮らしとか・・・・ちょっと・・・慣れなくて・・・・ごめん・・・ごめん」

「やっぱ、帰ってこいよ」

冬子は首を縦にも横にも振らなかった。

なんと言って慰めればいいのだろう。
分かっていることは、ふたりは恋人同士ではないということだった。
お互いに胸を借りて泣くとか、そんなことが出来ず、もどかしかった。

声も出さず泣く冬子を乗せ、直之はただただ自転車を漕いだ。



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