ある、晴れ渡った
暑い日。
あるおばあさんの家に、傷ついた、一匹の動物が辿り着いた。
年老いて、身内もいなかったおばあさんは、その動物をわが息子のように可愛がった。
他の動物に比べ大きすぎるその体も、言葉を話すことも、大したことではなかったのだ。
おばあさんの介抱のおかげで、その動物は順調に回復していった。 一週間もたったある日、一人の男が尋ねてきた。
その人はおばあさんの知り合いのようで、おばあさんにとても優しく接している。
だが、動物は静かなうなり声をあげる。
その体に傷を付けた、張本人。
「こら!ラト!」
そういってラトは叩かれた。
「ごめんなさいねぇ、まだあまりなついてなくて・・・」
おばあさんはその男の人に、ただただ謝っていた。
ラトは隅のほうにうずくまり、目を閉じていた。
その男を、殺してしまわないように。
おばあさんを、悲しませたく、なかったから。