その男が帰ったあと、ラトは「散歩に行ってくる。」
と言い残し、後を付けた。
いや、付ける必要もなかった。家をでてすぐのところで、その男はもう一人の男と合流し、こんな会話をはじめたからだ。
「どうだった。」
「やっぱりあの家にいたよ。」
「そうか。やっぱりな。」
これだけで、ラトはすべてを理解する。
「ここにいてはいけない」
ラトは家に帰ると、おばあさんに全てを話した。
自分が化け物扱いされている事。さっきの男が調査のために来たこと。
その話を聞くと、おばあさんは立ち上がり
泣きながらラトを抱き締めた。
「ごめんね・・・ラト・・・私はあなたを叩いてしまった・・・。あの時、あなたはとても辛かったでしょう。ごめんね・・・」
とぎれとぎれに、おばあさんは謝った。
「今すぐにでも、あなただけでも、逃げなさい。」
ラトはそんな事はしたく無かった。
おばあさんを連れてでも逃げるつもりだった。
その時。
「コンコン」
玄関を叩く音。