「さぁ、早く!」
「でも!」
パンッ
おばあさんは、力一杯、ラトを叩いた。
しかしその手は震えて、まともに力も入らなかった。
ラトは何も言わず、裏口から飛び出した。
「ごめんね・・・ラト・・・」
おばあさんは意を決して、玄関をあけた。
視界いっぱいに広がる、黒光りする猟銃の群れ。
一際大きな男が、おばあさんに銃をつきつけた。
「ラト君とやらを、だして頂けますか。」
言葉は穏やかだが、その目には強い殺意が宿っている。
おばあさんは震えるてを握り締め、聞いた。
「なぜ、ラトを狙うんですッ!」
◆
「それで、なんて返事が来たんですか。僕と同じ、その質問に。」
おばあさんはハッとしたようすで、斧を床に落とした。
「ああ、私はラトに・・・なんて事を!」
嗚咽まじりのおばあさんに、そっと呟いた。
「辛かったでしょう。おばあさん。ラトは、どこです?」
少し薄情な聞き方かもしれないが、今の話が本当なら、もう時間はないだろう。
「北の塔の・・・てっぺんよ・・」