僕の心臓は恐ろしいくらいにバクバクしている。
近い、近すぎる。
ミサキさんが目の前にいる。
突然だけど、ミサキさんはグラマーだ。
そんなグラマーな彼女が
僕の上に。
嬉しいけど、泣きたい。絶対に殴られる。
でも、いくら待ってもパンチはこなかった。
「ミサキさん?」
僕は首を少し傾けてミサキさんを見る。
彼女は俯いていて、表情はわからない。
「すみませんっ、大丈夫ですか?」
返事はない。
それからしばらく待ってみたが返事なはない。
これが・・・嵐の前の静けさというものか?
生きて帰れるかな。
ミサキさんを目だけ動かして見ると、なんと・・・
彼女は寝ていた。
規則正しい寝息をたて、筋肉がついてるとは言えない僕の胸板をまくらに。
駄目だよミサキさん。
そんなことしたら
汚れちゃうじゃないか。
それにしても寝てしまうだなんて、余程睡眠不足だったのだろう。
僕は寝ているミサキさんを起こさないようにそっと抱き上げると、ベッドに運んだ。
ベッドにおろそうと腰を屈めたとき、ミサキさんが小さく身じろぎした。
顔が僕のほうを向く。
一度だけ。
起きないで下さいね。
僕はミサキさんを包み込むように抱きしめた。
そして、その唇に、
深くはないけど長いキスをした。
そして、彼女を静かにベッドに降ろした。
その瞬間、彼女の目がパッと開いた。
「うわぁあぁぁぁぁあ!!!」
僕は情けない声を出し、後ろに飛びのいてしまった。
本当に、情けない。