赤い天空に浮遊する建造物。
”竜の墓場”とレグナは言った。
「レグナ、そろそろ教えてくれよ。ここには一体なにがあるんだ?」
既に内部へ入ったアイン達は人間には広く、ドラゴンのレグナにとっては狭い複雑に入り組んでいる通路を飛行していた。
レグナはただ黙々と飛んでいる。
「次期に解る…。それより小僧、お主の抱えている娘っ子はよいのだが後ろにいるリリーナとやらを支えておけ。背から落ちるぞ?」
「え、リリーナ…?」
アインは腕の中で寝息を立てているマナに視線を落とし、後ろに振り返った。
「いつの間にか…寝てる」
リリーナはアインの背中に寄り掛かるようにして眠ってしまっていた。
「ここの空気は”人間”には耐えられぬのだ。人間ならば、必ずや眠りに墜ちる。」
複雑な通路がやがて一方の通路になり始めた時だった。
そうレグナが呟く。
「”人間”には…って…じゃあ俺は一体…?」
問い掛けるが飛行が止まる。
そして、ついた…と。レグナ。
目の前には巨大な水晶が回転しながら浮遊している。
「クリスタル?」
「似てはいるが少し違うな。これこそが我々、神竜族の血の記憶だ。」
突然、その水晶に向かって炎をぶつけた。
炎を纏った水晶が恐らくそうしなければ起動しなかったであろう物が光り輝く。
”今一度、この魂に火が点くことを祈らん…”
無機質なここにいる誰のものでもない”声”が響く。
「レグナこれは…?」
「神竜族の言葉だ。今から起こる全ての事を告げてくれる。そして小僧…お前の全ても…な。」
「おれの…全て…」
そして、無機質な”声”は続く。