黒い天使 白い悪魔 ?

鴇色猫  2007-06-27投稿
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「僕が自分を天使と言い切れない理由はね…」

目を閉じ、背中の神経に問いかける。

「これなんだ。」

メリメリという音と共に、尖った肩胛骨の一部が背中の皮膚を突き破る。
骨は伸びて伸びて…肉が付き始めた。そしてその肉はやがて羽毛に被われる。


真っ黒な羽毛に。


「分かる?僕は天使だけど、黒い翼を持っている。だから、天使じゃない。」

ルイはしゃがみこみ、膝を抱える。

「だから…追放されたんだ…もう、父さんにも母さんにも会えない…」

「俺も、追放された。」

ハッと顔を上げる。そこには、ニードの、何処か寂しそうな瞳があった。

「白い翼が生えたから。」

バサッ


その背中には、目映い程真っ白な翼が生えていた。

でも、片方がおかしな方向にひしゃげている。羽も所々むしられて、痛々しかった。


「お前のトコよりは、荒っぽいやり方だけどな。」



魔界。
あの何も見えない真っ暗な世界で聞こえた、複数の怒号。

あの時あそこに居たのは、悪魔たちとニードだったのだ。


「あそこに居て、息苦しさは感じてた。けど…」

「今まで仲間だと思ってたのに、翼の色が違うだけで追い出された…」

ニードの言葉をルイが引き継ぐ。

「あぁ…」

「僕ら、こんなトコまで似なくて良いのにね。」

悲しげに笑うルイ。

「悪ィ!」

ニードは頭を下げている。
しかしルイにはその理由が解らない。

「な、何で謝るのッ!?」

「お前がここに居るワケも何も知らないで、お前の言葉を天使の驕りだと思っちまった…イキナリ突っかかって悪かった!」

「い、良いよそんなの!全然気にしてないし!」

「そうか…?」

「うん!全然!」

「なら、良かった。」

ふっと笑うニード。
ルイもにっこりと笑って

「ニードって話しやすいな〜」

「そうか?…なぁ!天界ってどんなトコだ!?」

「え?う〜ん…良い人たちばっかりだったけど、ちょっと大変だった。」

「例えば?」

「『行儀良くしなさい!』とか言われるし、『悪の心を持ちません。』っていうような教典を覚えなきゃいけなかったし…」

「うへっ面倒くさ〜」

「でしょ!?あとはね…」


平穏な一日が過ぎ去っていく。
空を流れる雲のように。




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