7『手のカギ』
まだ幼い頃、お風呂に入る時に服を脱がされるだけなどでしょっちゅう肩の関節が外れた。そんな時、手のカギが外れたと言ってたな。自分でも驚くほど小さな時の記憶もある。私が、星ひゅうまのようなギブスを足につけて赤ん坊の歩行機に乗っている記憶。母は、昔のオムツは、ごつかったから足が開いた状態になるから足の脱臼など当たり前だったと答えたが子供の扱い育て方を知らなかっただけではないか。今、思えば私は痛みに慣れすぎて鈍感なのかもしれない。
8『いたずら』
二年も住んでいないマイホームに住んでいた時、隣に同じくらいの年の女の子がいた。
チャイムを鳴らして逃げていったり、目に砂をかけてくるなど意地悪だった。家の玄関のドアのポストにゴミを入れてきたりもした。その頃はすでに私はカギっ子で両親が帰って来たら自分が叱られるんじゃあないかと追い詰められた。私は、子供ならではの反撃だったが隣に行ってピンポンを押して逃げてみた。心臓が爆発しそうだったが、隣の女の子は出てこない。今思えばさすがだ。
困った私はゴミまでの勇気がなく、道端の草花をポストに入れた。
次の日、向こうの親に、もう私とは遊ばせないと言われた。それからは私の家側の隣のカーテンはいつも閉められていた。それどころか、その女の子は団地中で悪さをしていたらしく、その母親の私のいたずらの話で私が犯人にすりかわっていた。近所からの苦情を母は信じた。私を信じず。
それから引っ越すまで、団地の大人達が恐くて外に出れないで家の中で一人で圧迫に耐えた。