「俺、もっと話したかったなって…あんまり遊べなかったし」
もしかして…私と同じ事思ってる…?
「ごめんね、体調悪いのにんな事言って」
困ったような顔して笑う彼。
「…訳じゃない…」
本当は体調が悪かった訳じゃない。
私は俯いたまま言葉にする。
「え?」
顔をあげて泣きそうになるのを堪える。
「私の方こそごめんね…。ただ、二人でいたかったんだ…」
「そっか…、やっと本音聞けた。良かったぁ〜」
水嶋君が手のひらをオデコにあてて笑った。
我儘だって思われるって思ったのに。
「行こ」
「え…?」
手を差し出す彼。
駅方面に歩きだす。
どこに行く気なんだろう―?
着いた所は、昼間とは違う海辺。
日は落ちて来たけど、まだ温い。
「二人っきりだよ☆」
薄暗い中、水嶋君が両手を広げる。
二人っきり…。
望んでたけど、実際恥ずかしい。
「早くおいで!」
すでに海パンになった彼が手招きしてる。
私は背を向け、ワンピースのファスナーを下げる。
この日の為に買った水着。もう意味がないものになっちゃったって思ってたけど…。
「可愛いじゃんか…」
薄暗くて見えにくかったけど、ちょっと頬が赤いような…。