そして、いつもと同じように扉は開きかかっていて、僕は扉の前に立っている。
この扉は開いちゃいけないんだ。
開いたら、あの女が入って来る。
僕の頭はそれでいっぱいだった。
その時。
扉の隙間から見慣れてしまった青白い手が入ってきた。
そして、扉を開けようとする。
僕は開けさせまいと扉を一生懸命閉めようとする。
怖い。
ただそれだけだった。
「お前なんか入ってくんな!!…消えてしまえ!…お前なんか消えてしまえ!」
そう叫んだ瞬間。
青白い手が消えて、バタンッと扉が閉まった。
「…ぁれ?消えた?…ッはは。やったぞ!あの女、消えたぞッはは。」
僕の恐怖は一気に消え去った。
やっと毎日の恐怖に解放されて嬉しかった。
そんな喜びにひたっている時に後ろから異様な気配を感じた。
まさか!と思い後ろを振り向いた。
何も居ない。
「ッはは。何だよまったく。」
ホッとした。
「ゃっと2人きりに…なれたね…」
「…!?…」
背中越しに低い声が響いた。
恐怖を感じながらもゆっくり振り向くと…
白目をむいた髪の長い女の人がニヤリと笑いながら僕を見つめていた。
「ぅわあああ!?」
あの扉は閉めちゃいけなかったんだ
終