龍雅に追い詰められたテロリストのリーダー格の男は龍雅に『革命教団』の真意を伝えると持っていた毒薬を飲み込み最後の時を迎えようとしていた。
龍雅はしばらく立ち尽くした後、地面に突っ伏した男のところに歩み寄った。
龍雅の表情は憮然としていた。
龍雅「くだらない…。それが貴様らにとっての果たさなければならない大義なのか?」
男は虫の息の状態で答えた。
男「少年…である貴様には…恐らく…わか…るまい…」
男はそこで事切れた。
龍雅「ならば貴様らのその歪んだ思想を摘み取るのが我々の“使命”だ。だが…」
龍雅の心中は複雑だった。
龍雅(ただ民衆を駆逐するだけの思想家の手に…もしこの男の言う事が本当なら…)
龍雅は懐から無線を取り出して電源を入れた。
龍雅「シェイル、こっちの救出は完了した。あとは好きなように始末しろ」
シェイルはディア=パノスの無線機を叩いていた。
シェイル「あぁ、なんてボロイんだい。聞こえにくいったらありゃあしないよ」
ディア=パノスは背中のバーニアを全開にし敵陣に切り込んでいった。
味方のストライカーもそれに続く。
シェイル「こっちも通常兵器が使えるのさ。もう手加減しないよ!!」
………………
龍雅は校舎の裏山に退避し、そこから先程の戦いの残骸を見つめていた。
龍雅(いつまで、戦わないと駄目なのだろうか?俺は…)
龍雅の後ろにディア=パノスが着地した。
シェイルが胸部のハッチを開けて降りてきた。
そして龍雅に歩み寄ると一言。
シェイル「龍雅、さっきの奴らってもしかして…」
龍雅は重い口を開いた。
龍雅「奴らは“忘れら去られるべき存在”だったということだ」
龍雅はシェイルの方を振り向いた。
龍雅「お前の会社と契約したい…。俺に出来る事があればの話だが…」
シェイルは安堵の表情を浮かべた。
シェイル「その言葉を待っていたのさ。」
その日の夕焼けもいつも と同じ表情を浮かべていた。