いくら手をのばしても届かない。
そんな気がして、立ち向かう事すら忘れてた。
時は春。
春は物語の始まりでもあり、終わりでもある。
幸い私はこの春から高校一年生。まさに今が青春!たっぷり楽しんでやる!!
そんな気持ちで臨んだ入学式…私は恋をしてしまった。
背が高くて、無造作にセットされた髪型。長さは肩ぐらいまでだろうか。
かなりのイケメン。
でも私は…
「あー、綾香!あんた恋したんでしょ?」
入学式の帰り道、不意に夏樹に質問された。
「別にしてない。…本当だよ!」
夏樹はニヤニヤと綾香を見つめていた。
「隠すなよー!あたしとあんたの仲じゃん!」
そう、私と夏樹は幼稚園からずっと仲良し。
そのあとも小、中、高とまるでさくらんぼのようにいつも私達は一緒にいた。
「まったくー、綾香は昔からすぐ顔にでるからね。」
私は顔を赤くした。
「もー夏樹!!」
その後も夏樹と色々話ながら家まで歩いた。
ペットの犬の話や、夏樹の元カレの話、友達の話…とにかくたくさん笑った。
「じゃあ、また明日!遅刻すんなよ!笑。」
夏樹はそう言って家の中に入っていった。
夏樹の家は私の家の近くだった。
ふと公園が頭に浮かんだ。
私の家と夏樹の家の間には小さな公園があった。昔はよく遊んだ。最近ではさっぱり寄らなくなったけど…
「久しぶり寄っていこうかな…」
私は公園に着くまでの間、様々な楽しい思い出を思い浮かべては幸せな気分に浸っていた。
公園に着き、少しワクワクしながら覗いて見ると不良がたまっていた。
なんだかさっきまでの気持ちが馬鹿みたい。
がっかりしながら帰ろうとした時だった。
「ねーねー!おねぇちゃん、遊んでかない?」
不良の一人が声をかけてきた。
無視して歩いた。
…ガッ!「名前教えてよ!」肩を捕まれた。あー!しつこい!!
バチン!!
私は思いきり振り返ってビンタした。
げ…
私は固まった…
「いってー!」…入学式に恋をした彼がそこにはいた。