明日には僕と君は離れることになる。
なのに僕は、それを知ってて君に恋した。
一夜だけが君と居れる時間。
真夜中に自転車の後ろに君を乗せて近くのコンビニまで。
「寒い」
そういって僕の背にしがみつく君に恋をしたんだ。
話したいことがいっぱいあった。
行きたいとこもいっぱいあった。
それなのに明日には君がいなくなる寂しさをぐっと押し殺して僕は笑う。
部屋にかえって僕は押さえられなく君を抱く。
君は少し拒みながらも僕を受け入れてくれた。
何度キスを交わしただろう。
何度君の名前を呼んだんだろう。
何度君を…
「好きやで…」
「俺もや…離れとうない…」
僕は押し殺していた涙が自然と溢れてくるのがわかった。
「泣かんの。男やろ」
「泣いてない…」
君は服を着て僕にキスをする。
「じゃあね」
君は笑って部屋を後にする。
僕はただ涙で去る君を追いかけることもできず、君の残り香を探すだけだった。
たった一夜…
たった一夜が僕を幸せにし、僕を壊した。
君を思うと自然と涙が溢れ、君を探す日々。
数ヶ月後のある日のことだった。
「ひろき」
懐かしい声に振り向くと、懐かしい君の姿があった。
「さえ…」
君はまっすぐ僕の方に駆け寄り抱きつく。
「ただいま」
あの頃の笑顔のままの君。
君を抱きしめ僕は言う。
「おかえり」
僕は精一杯君を抱きしめた。
君を離さない。
もう君を…離したくない。
君を愛してる。