『…先輩、やっぱ解っちゃうんですね』
桜杯はため息混じりの苦笑を口調に刻み込んだ。
「それはそうだよ。でなきゃこんな仕事してないってば。で、何があったの?」早く聞かなければならない普段は心霊に対してあまり慣れていない事態にパニックになる人の話を、落ち着くまで決して折らない温和な武藤だが、今日は違う。ひどく焦る。
『…はい。さっそくですみませんが、先輩、古賀さん覚えてますよね…』 武藤は眉を寄せる。 「忘れたくても忘れられないよ。それより、古賀くんがどうしたんだい?」
『単刀直入に言います。その古賀さんが、うちの生徒に呪咀をかけました』