笑顔と泣き顔?

かなこ  2007-06-29投稿
閲覧数[140] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 美加をとりまく環境は、いつも穏やかで温かかった。美加の人柄に誰もが惹きつけられるのだろう。誰もが美加に憧れ、自然に美加の周りに人が集まる。
 しかし、美加の心の真ん中にはポッカリと穴があいていた。いつの頃からだろう。何がその穴を埋めてくれるのか、美加はその答えが分からずにいた。

 ある日の昼休み、後輩の知恵が美加に聞いた。「美加さんの彼氏さんって、どんな人なんですか?」
「あたし、彼氏いないよ。もう4年くらいになるかなぁ。」
一瞬の間があって、みんなの視線が美加に向けられた。誰もが“目が点”状態である。そう言えば、美加のプライベートな話を誰も聞いたことがない。いつも話すことと言えば、TVやファッション、イベントや新しくできたお店のことなどなど、他愛ない話だった。一度盛り上がってしまうと、終始そのネタで1日が終わってしまうほど。だから、、恋愛話など出なくても会話が尽きることはない。
「うそーーーーっっ?!?!」
一斉に声が飛び交う。
「彼氏さんいると思ってました!」
「4年もいないなんて、絶対嘘ですよ?!」
「嘘つかないで下さいよ〜」
それでも美加はクスッと笑って、
「ホントだよ。好きな人すらいないよ。」
この日の午後は、美加の恋愛話で持ちきりになったことは言うまでもない。久々に恋愛の話をした夜、美加は一人アパートで考えていた。
 美加は何となく気付いていた。心に穴をあけてしまっているのは、恋愛だと。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 かなこ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ