目の前が 真っ黒。
ばさばさ と羽ばたく音 耳障りな 鳴き声
そして
今にも死にそうな 僕
なんで、
こうなったんだろう?
…ちくしょう。
7月 27日
念願の夏休み入り。
今日から僕の通う
‘双葉中学校,は、
9月1日まで33日間
お休み期間に入る。
まったく、
‘夏休み,を考案した
誰かさんには、物凄く
感謝の意を伝えたいよ。 ありがとうございます。
さて、時間は夕方7時
よく詩人みたいだとからかわれるけれど、今日の夕日は最高ランクに値する情景を描いていると、賛美してもいい。
西の、町並みによって
縁取られ浮かぶ地平線にかなりの角度で沈みゆく太陽。
晴れ渡った晴天の空にはかすみ雲が漂い、橙色から桃色や蒼、そして紫へと幻想的に色を変化してゆく景色。
でも、こんなに綺麗な
景色なのに、ゆっくりと見ていられないのが
悔しい。
早く帰らなければ…。
外に居ては、死ぬ。
−−カラスが、
鳴くその前に…−−−
名残惜しみながらも、
僕はその雄大な景色に
背を向けて、帰路の道へと戻る。
通学路の途中に、
町並み全体が見渡せる丘の上にある公園で、
僕は暇さえあれば、
景色を眺めていた。
そして事は起こった。
『カァカァッ!!』
(ばさばさばさっ!)
「っ!?
うっ…わぁぁぁっ!!」
一羽のカラスが、
突然僕の目の前に現れて 、僕の頭上で、しかも
かなり近距離で羽ばたいた。突然だった。
−−盗られる。
僕は、
足の鋭い爪を振りかざして、僕の喉を掻きむしろうとしているような、
威嚇するように僕に向けて足を突き出しているのに、恐怖感を覚えた。
−−持っていかれて
しまう…。
振り払おうと手に持っていた鞄で応戦する。が、 カラスは軽々と、それを回避した。
目の前に迫るカラス。
「うぁっ!!」
足がもつれて、
僕は勢いよく地面に倒れ込んだ。
襲いくるカラス。
僕は悲鳴を上げていた。
そしてカラスが僕の胸の上に降り立った時、
耳元でよく澄んだ声を聞いた。
『−−我の 躯になれ』
と、