薔薇のように 2 〜story of HANA〜

るぅ  2006-03-04投稿
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「ほんと華って変わってんなぁ。」
綾が呆れ声でうめく。その横から麗子がぐっと身を乗り出してきた。派手にカールした髪を指先でいじりながら得意の上目使い。
「華に足りないのは自信。自信を与えてくれるのは恋。つまりオトコ。オトコと言えば合コン!」
「行かないわよ。」
間髪入れずに華が言う。
「麗子はそればっかりなんだから。」
頬杖をつき出来立てのココアをかき混ぜる華に、優香が笑いかけた。
「でも恋はした方が良いと思うよぉ。誰か紹介しよぅか?やっぱ年上?」
「紹介・・・かぁ。」
華の頭を何人かの顔がよぎる。華にも一応過去に付き合った人はいる。だがみんな向こうから近付き向こうから去って行った。理由は様々―一緒にいると気が抜けない・僕は君にふさわしくない・君を幸せにする自信がない―など、相手が勝手に自滅するのだ。華自身そこまで好きではなかったので傷付く事はなかったが、恋愛というものがめんどくさくなってしまった。
「ん〜。」
「そら年上やろぉ?」
「華に年下の彼氏なんて想像つかないわね。同い年でさえ釣り合わない気がしない?」
綾と麗子を交互に見ながら、華は曖昧に笑ってみせた。
今まで付き合った男は全員年上。それが全てうまくいってないのだ。また紹介されてもうまくいく気がしない。でも確かに年下というのも想像つかない。華の頭に今度は弟の顔が思い浮かんだ。3歳下の弟はひどく幼く感じる。恋愛対象などありえない。
一人でブツブツと思い悩む華の肩を優香が叩いた。
「いつでも協力するからねぇ。とにかく今日は女4人で楽しもぉ!」
「せやな。とりあえずカラオケ?」
「ショッピングしたいわ。」
「おいしいご飯食べようねぇ。」
「最後はバーでも言って逆ナン・・じゃなくてゆっくりお話しましょ。」
麗子の声を合図に4人は席を立った。



あと数分で日付が変わろうという時間、華はカフェでの会話を思い出しながらマンションの廊下を歩いていた。恋は確かにした方が良いと思う。でも好きになるという気持ちがよくわからないのだ。いくら綺麗だ素敵だと言われても心ときめいた事などない。
「恋ってなによ。」
独り言を言いながら鍵をさしこんだ時。
ガチャ
隣の家のドアが開き若い男が出てきた。実は隣は弟の部屋だ。親が若い子供の一人暮らしに不安を抱き、姉弟隣同士で住むという事で何とか合意したのだった。

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