亜紗子は顔をちょっと歪めながら苦笑した。
ふと脇にあった冷房のリモコンを見ると、気温はドライで8度。半端でない。
「…いいです、ここで平気です」
「うーん、そう?あ、でもなんかあったんじゃないのかい?」
「えー…はい…。いや、そうですけど、うん。」 用事はあったが、入れないというよりも入りたくないこんな極寒地に入ったら凍死する。ただでさえ冷え性なのに。
躊躇するように弱々しく言葉を紡ごうとすると、いきなりさえぎるように、桜杯はにっこりした。
「…大丈夫だよ?冷房弱くするから。」
読まれていた。亜紗子は気まずげにため息をついた。覚悟を決めた。
「はい。実は相談があります。霊の、ことで」