高校3年の夏

さくら  2007-07-01投稿
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夏といえば連想されるもの―海、お祭り、花火―全てがきらきらと輝いていて誰にでも一つくらい胸の中に輝くものがあるはずだ。
しかし、そこに“高校3年の”がついて“高校3年の夏”となると一気にイメージがぼやけ暗い色を落とす。
彼らにとっては夏なんて暑いだけ、辛いだけ。しかし、きっとその中にも半年後の自分の未来を見据えて夏とキラキラ輝いている人もいる。

でも、やっぱり未来を見つけられずに闇雲に前を睨んでいる人も、私がいる。

未来が予想できたら良いのに。大学に入れるなら今、勉強を頑張れるけど、入れないんなら今の努力は無駄。
一寸先は闇だからどうしても鉛筆を持てないのだ。
机に向かって先の尖った鉛筆を見つめる。
その鉛筆はセンター試験に向けて鉛筆の筆圧になれるために、と先生がくれた物だった。
その先生は私の担任でも何でもないけれど、あたしに同情して世話を焼いてくれる人だった。

1年前に私は余命半年を宣告された。何の奇跡か、今私は普通に学校に通って受験生をしている。1日1日を生き長らえながら、1日1日に死の恐怖を抱きながら。

それでも私は鉛筆を握る。
薬の副作用で頭が働かなくて進まないけれど、それでも私は未来が見えないから頑張れるのだ。
明日死ぬ可能性も、60年後に死ぬ可能性もある。
こうやって足掻いている限りあたしには明日があると信じているから。



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