僕にはこの世に生を受けたころには、おじいちゃんはいなかった。だから、おじいちゃんという言い方には今だに少し抵抗を感じている。友達と話をしていても、ついつい「祖父…」と言いかけて「おじいさん」と言い直す。
おばあちゃんも、母方のおばあちゃんは他界していた。前までは「両親が遅くに僕を産んだからだ」と思っていた。「みんなよりお年玉が少ない」などとバカな事も思ったりもしていた。でも、今思うと僕の唯一のおばあちゃんを人一倍、大切にしないといけなかったのかもしれない…。
いつも笑ってサバサバしていたおばあちゃん。湯がいた鍋のままラーメンを食べていたおばあちゃん。鯨の肉が大好きだったおばあちゃん。タバコとお酒が好きなちょっと悪だったおばあちゃん。僕が今まで見て来た人で…いや、これから見ていく中でも1番、心が広いおばあちゃん。
もっとおばあちゃんと言いたかったな。もっと笑顔が見たかったな。もっといろんな事、教えてほしかったな。
実は僕の初恋の人はお母さんでも、芸能人の誰かでも、クラスの女の子でもなくて、おばあちゃんだったんじゃないかなって今は思う。そして誰よりも尊敬する人。
おばあちゃんがこの世を去って5年…気付くのが遅くてごめんね。
5年前のおばあちゃんのお葬式の時もワンワン泣いてたけど、今の方が泣くかも…ってこんな事言ったら、ばあちゃん怒るよな、「男は一生に3回までしか泣いたらアカン」ってよく言ってたもんな。だから今は人前ではだけど何があっても泣かないようにしてるねんよ?
また、お酒持って会いに行くな。