二人は無言のまま残りの時間を過ごした。
冬子は思った。
時間が経っても変われないのは人間だけなんだと。
人間の根っこの部分は結局変われないんだと。
悔しいような空しいような、虚脱感が襲ってきたが、新幹線が入ってくる音で冬子は我に返った。
「じゃあ、行くね」
「あ・・・」
冬子は涙をこらえきれそうになかったので、すぐに新幹線に乗ってしまった。
直之は急いで携帯を取り出しメールを打った。
もうあと一分程で新幹線は出てしまう。
直之は飛び乗ろうかと思ったが、今自分がそんなことをしても冬子が望んでいなければ意味がない。
「冬・・・・!!」