新幹線のドアが閉まった。
そこには冬子が笑顔で涙を流しながら立っていた。
手を振っていた。
直之は「お前が好きだ」とただ思いの丈を短いメールで送っただけだった。
あれはOKサインなのだろうか。
新幹線はもう遙か向こうへと走り去った。
直之の携帯に冬子からメールが来ていた。
「やりたいこと見つけた」
直之がこのメールの意味を理解するのはそれから一年後のことだった。
冬子にとって変わらないものは、自分が一番理想とした姿だったのかもしれない。