｢ばかやろぅ！｣
研究所内に天賀博士の声が響きわたった。一瞬の静寂の後、研究員達はすぐに仕事を再開した。いつもの事だ。
｢一歩間違えれば全て台無しなんだ！７１５はそれほどデリケートな新型機人だと何回説明すればわかるんだ！｣
天賀博士は“７１５”と表記された２ｍ程のカプセルを撫でながら、幾重にも絡み合う色とりどりのプラグの中から一本を掴んだ。
｢これはここだ！こんな初歩的なミスを…｣
博士がプラグを正しい場所に差し込むと、カプセルの周りの幾つものランプが点灯した。
｢よーし７１５よ…もうすぐ完成だ。後はサタン回路とセラフ回路を繋いで…｣
博士は、管理室への階段を駆け上がり、ガラス越しに見える“７１５”のカプセルを見つめた。
｢バカな作業員のせいで台無しになるところだったわ…だがついにこの時が来た。｣
興奮と緊張で震える右手を左手で抑えつつ、管理室の中央の、赤いレバーを力一杯引いた。
ガコン…
という音とともに、カプセルの天井部分がはずれ、ゆっくりと、黒く輝く人型の機械が姿を現した。
新型機人-７１５である。
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