黒く輝く機人の胸板には、ゆっくりと歩み寄る博士の光悦に満ちた顔が写し出されていた。
「おお…715…我が息子よ…」
天賀博士は、715のその冷たい体に頬ずりするように抱きつき、自らの研究の成果に酔いしれた。
その時だった。
「博士!!離れてください!」
一人の作業員が管理室のドアから身を乗り出し叫んだ。
「なんだ…離れろだと?我が息子から?」
「回路が正常に繋がれていません!人工頭脳に異常が…早く!」
作業員の必死の呼びかけに我に返った博士だったが、既に遅かった。
機人の腕は、低い機械音と共にゆっくりと動きだした。そしてその赤い瞳には、一歩、二歩と後ずさりする天賀博士の姿が、あらゆるデータと共に映し出されている。
「715…やめなさい…なにをする気だ?おい!誰か!早く止めろ!」
叫びもむなしく、次の瞬間、博士の白髪の頭は、弾丸並のスピードで繰り出されるその鋼鉄の拳によって、まるでスイカのように破裂し、胴体だけがまた一歩、二歩と後ずさりした後、力無く崩れ落ちた。
715は次のターゲットを探すかのように研究所をぐるりと見渡すと、幾つもの生体反応を見つけ、その全てを“破壊”した。