カラスの天狩り 3   『どうして』

くろあげは  2007-07-04投稿
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−−『大丈夫。
あげるから、貰うだけ』

その言葉の意味が解らず、僕は首を傾げた。

カラスが顔を近づけてきて、僕は一瞬、言い知れぬ危機感を感じて反射的に後ろにのけ反った。
いくら‘普通じゃない,カラスでも、その容姿は僕が恐れるカラスそのもの。
くちばしで突かれるのを思わず想像してしまう。


『…だから、
怖がらなくていいって…対価交換をするだけ…』


−−−対価…交換??


僕が怖がっていることを悟したのか、カラスは首を引っ込めて、躯を後退させた。
そして、先程までとは違った、落ち着いて優しい口調で囁いた。
僕はカラスの目を見た

目、が…儚げだった。

僕は何故か、罪悪感を感じて、いたたまれない気持ちになった。
わざと視線から目を逸らすように、目を伏せる。


相手はカラスだ…、
人間じゃない。
僕の大っ嫌いな カラス。
なのに、なんでこうも…不思議と普通に接することが出来るんだろう…。
なんでこうも…安心感が持てるんだろう…?


『くっ…ははは…、
さいしょ痛いけどさぁ、すぐに楽になるよ…』


カラスは羽をばたつかせて、楽しそうに笑った。
何が可笑しいのだろうか?それに、急に口調が変わった気がする…。
何か抑揚のついた、艶っぽい…怖い声に…。


『じゃ、ハズレだったら自分を恨めよ?
適合者じゃなかった、
自分が悪いんだしさぁ』


カラスが近づいて来る。
僕の目に、黒いくちばしが……


−−−−……え…?
あっ……ああ…



《ザクッ…クチャ…》




「ひっ…ぎゃあぁぁぁああああああ!!!」


僕は
喉から血がでるくらいに叫び声を上げていた。
自分のモノか?と疑うぐらいの悲痛の声だった。なんで…こんな声を上げているんだろ…?
一瞬、思考や躯が麻痺したような感覚に陥る。
でもそれは、荒波のように激しく襲い来る激痛によって、目覚めさせられた。

目が…痛いっ…!!

咄嗟に、右目を両手で押さえる。
右目に、灼熱の鉛でも押し込められているようだった。
経験したことのない苦痛。
温かいぬるっとした液体が、右目から流れる。


熱い痛い…

ち…?血…?
なんで?

どうして…?



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