たばこに付ける火が無く 浮浪者の様な老婆にライターを借りた俺は少し気を許した。
またに風が吹き しがみつくには限界がきた枯れ葉が大木から舞い、影も揺れる。
不意に俺は老婆に聞いたんだ。
「ねえ 婆ちゃん。いろいろ大変そうだけど幸せ?」
「幸せだよ。だって生きてるじゃないか」シワをクシャクシャにした満開の笑顔で即答だった。その瞬間 少し胸が痛んだ。今 生きてる喜びを感じてる人はこの世界にどれだけ居るだろうか?
戦争 内乱 暴動 犯罪病気に直面してる人達ぐらいだろうか。
当たり前に生きてる人間は何十年も先の金と名誉の為に背負い 苦しみ もがき 戦い 泣いて すがって 命を絶って。
バラクーダも今生きてる事に喜びを感じているのだろう。どうやら大半の人間は損得で生きているらしい。
バラクーダはさっき俺が座っていたベンチに残した弁当を食べている。
じゃあね 一言老婆にささやき公園の出口に向かう。少し風が冷たくなってきた。ポケットに手を入れて、振り返ったら口をモグモグさせてるバラクーダと目が合った。
バラクーダよ。人参は美味しいか?
完