鬼牛の鳴く島 3

那須  2007-07-05投稿
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やがて目が慣れてくると、物音の正体が暗闇にぼんやりと浮かび上がった…また井上だ。
「まだ寝てないのか?」
三上の声に一瞬驚いたような仕草を見せた井上だが、三上の顔を見ると、小声で
「あぁ。三上、これ見ろよ…」
井上はそう言って、部屋の隅の棚の上に置かれていた小さなノートを差し出した。
どうやらそれはこの部屋に泊まった客達の為の日記のようなものらしい…ぼろ旅館のくせにこんなところだけ小洒落た事を…
案の定日記には旅館に対する不満がびっしりと書かれていた。「最悪」とか「うんざり」という言葉が目立つ…
眠い目をこすりながらノートをペラペラとめくっていると、最後のページに、不思議なことが書かれていた。
“母さんは怪物になってしまったの?それとも怪物の餌になってしまったの?母さんはどこにいったの?”
震えた字で書かれたその言葉は、なんだかとても不気味な威圧感を放っており、三上はそこでページを閉じた。
「気持ちわりい…なんなんだよこれ?怪物って…」
時計は二時を回っていたが、すっかり目が覚めてしまった三上と井上は、結局一睡もしないまま朝を迎えることとなった。



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