「あ〜、あれはぁ…」
目線を逸らす彩に、
「あれは別か。じゃあ何でだ?」
俺は覗き込むかのように意地悪を言う。
「な、何でって!?」
声裏返ってるし…、マジで緊張してんのね。
「当てようか?」
唇が触れるか触れないかの所まで顔を近付ける俺に、顔を赤らめた彩。
「こーゆう事だろ?」
そう言って、彩をベットに押し倒した。
彩は目を潤つかせ…
って、やべ!本気モードじゃない(汗)
何か、彩が妙に色っぽく見えて、そのまま口づけようと思った。
が…
『真鍋君…』
何でか美紀先輩の顔が浮かんで来て、俺は体を起こした。
(ダメだ、出来ね…)
こんなんで、彩に手を出す事なんか出来ないと思った。
呆然とする彩に、
「ジョーク、ジョーク☆」
って、笑って見せる。
一度俯いて、顔をあげる彩…。
目には涙を溜めてる。
(え、マジ?)
次の瞬間、睨み付けると、
「笑えないよっ!」
と怒鳴り付けて、部屋を出てった。
何やってんだ俺…。
今、追って行っても、何て言えば良いのかわからない。
遠くで玄関の戸の閉まった音が聞こえる…。
俺は座り込んだまま頭を掻き毟った。