『どうするの?』
声は再度響いた。
私の答えは絞り出されたようにでてきた。
その日私は世界から消えた。
『ようこそ。』
青年は言った。
私は黙って、彼の瞳をみつめた。
なんの感情も読み取れないそれはわたしに微笑みを向けた。
辺りはただ白かった。
何もない。
彼だけ。
私は尋ねた。
「ここには他に誰かいるの?」
彼の返事は早かった。
『いいえ。ここには君と僕だけ。』
「そう。」
『他に誰かいるのなら僕は君を求めたりはしない。』
―でも、誰でもよかった―私は心のなかでわかっていた。
『お願いがあります。僕に名前をつけて。』
名前?
『僕は僕に僕だけの名前をくれる人を探していた。』
「そんなの自分でつけたらいいじゃない。」
『違う!僕が欲しいのはそんなものじゃない!!』
突然の叫びに私は肩を震わせた。
『ごめん。でも分かって。……君には…君も一人になればわかるよ…』
彼は言った。
名前はいつでもいいと。
私がわかるまではいらないと…
泣きたくなった…