ななみ…ごめん。
行けなくて…
でも俺、…
…。
「ほらー次は圭治の番だよ!」優美がでかい声で言った。
「ちょっと、聞いてる?」
「あ、ああ…聞いてる聞いてる。」俺はハッと我にかえった。
…そうだ、サークルの打ち上げの最中だった。
「ごめん、ごめん。で、次は誰の番?」
「お前だよ!てかお前ろくに恋なんてしてないでしょ?ちゃちゃとおそまつな恋話話しちゃって!」
そっか…みんなで恋話について話してたんだ。
皆が急かす中、俺は迷いに迷った挙げ句、お前の話をする事にしたんだ。話すくらい許してくれるよな。
俺は変に緊張した。
深くゆっくりと息をし、話始めた。
それは俺が高校一年の夏の事だったんだ…。
日は沈みだし、ヒグラシも鳴いていたと思う。
辺りの木々は赤オレンジ色に染まっていて、俺はそん時、ああ…夏なんだなって思った。
正直俺はモテる方ではなくて…だから余計緊張してた。
まさか…先輩に告られるなんて。
先輩の名前はななみっていうんだ。
肌がしろくて髪は少し短めだったかな。
とにかく元気な人だった。
実は先輩に憧れてた。
そんな時、急に先輩に呼び出されて、体育館で2枚のトランプを見せられた。
ハートとジョーカー。
好きならハート、嫌ならジョーカー。
選べって俺に突き出してきた。
俺は迷わずハートをとろうとしたんだ。
でも俺、気づいたら家の近くの公園にいた。
カードを引かずにびびって逃げてきちゃったんだ。
俺は自分が情けなかったよ。
続く