「美紀…先輩」
(俺を好きだって?本当に…?)
まだ信じられないでいる俺の手をとる彼女。
俺はただ茫然とする…。
「キャアアアー!」
(えっ!?)
体育館裏の方から叫び声が聞こえて、それが彩の物だとすぐわかる。
俺は美紀先輩の手を振り払って走りだした。
彼女が何か言おうとしてたけど振り返らない。
(彩…!)
「やめろ!」
目の前には倒れ込む彩。
傍らに元カノの沢木と、その連れがいた。
「お前ら…どけっ!彩っ!彩!」
傍に寄って声をかける。
…気を失ってるだけみたいだ。
ホッとすると共に怒りが込み上げて…。
「ち、違うの!和也クン。私たちが来た時には…ね?」
沢木がもう一人の女を見て言い訳する。
その女も、
「そ、そう。倒れてたの!」
すげえ汗かきながら合わせる。
(信用ならねぇ…)
ただ怒りで睨み付ける。
「次、こんな目に合わせてみろ?俺が、地獄に送ってやる!」
悲鳴をあげた二人は、
「ごご、ごめんなさいっ!」と謝った。
「謝る相手が違うだろ」
「はい〜!ごめんなさいぃ」(だから違うってのに)
「もう消えろ!早く!」
何度も謝りながら立ち去る二人。
俺は傷ついた彩を、抱き締めた―。