修行僧…
そんな印象だった。
鋭い眼光
大きな体躯
…あの日、僕はこの人に魅せられた。
「何をしている…」
静かで重い口調…
「こ…この人が入部てくれるんです、部長。」
結城くんは虎に睨まれた兎の様だった。
「ほぅ、そんな年老いた輩が新入部員か…」
酷い言われようだ。
「で…でも、即戦力になりますよ!」
必死の主張。
…というか、僕はそんなに強くないけど…
「三年では、使い者にならん。このまま引退したら、卓球部は潰れる。"先"を考えろ。」
鋭い口調だった。
「"先"なんてどうでもいいです。僕は部長達と勝ちたいんです!」
結城くんの額からは汗が滴っていた。
不釣り合いな対峙
圧倒的な存在感の差
「ふん、珍しいな…オマエがそんなに必死になるなんてな。まぁ、いいだろう。ただし、テストに通ったらだがな…」
"部長"は僕の方に向き直った。
「オレは御堂 千景だ。本当に入部するつもりか。」
…頷く
のにこんなに覚悟を要したことはない。「入部するよ。そのために来たんだから。」
妙に素直になれた。そう…僕はただ卓球がしたかった。
「ふん、ならテストだ。今からここで…1000回玉つきをしてもらう。」
拍子抜けだった。元テニス部員ができないはずがない。
…しかし、彼は付け加えた。
「ただし片足でな」